【意見公表】

「第7次エネルギー基本計画」策定に向けて

 一般社団法人北海道再生可能エネルギー振興機構は、現在検討中の「第7次エネルギー基本計画」に向けて、再生可能エネルギー(以下、再エネ)による地域活性化の視点から意見を公表しました。

 現在、検討が行われている「第7次エネルギー基本計画」では、分散型エネルギーである再エネについて、地域理解・地域共生を促進するような、再エネを地域活性化につなげる政策への取り組みが不十分です。

この意見公表は、資源エネルギー庁で設置しているエネルギー政策に関する「意見箱」やパブリックコメントへの意見提出の他、北海道・札幌に拠点を置かれている報道機関へお知らせしております。

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「第7次エネルギー基本計画」策定に向けた意見

2024年12月13日

一般社団法人 北海道再生可能エネルギー振興機構


1.国際会議における目標設定に沿うような野心的な再エネ導入目標の設定を

 再エネはエネルギーの安全保障と安定供給、コスト低減に貢献するため、世界では再エネを国の戦略として脱炭素化の中心に据える国が増えています。日本においても、第6次エネルギー基本計画で掲げられた「再エネの主力電源化」を徹底し、再エネ最優先の原則で取り組む事が必要です。

 2022年6月のG7では2035年までに電力部門の完全又は大部分の脱炭素化を合意しており、昨年11月のCOP28では1.5度目標の達成に向けて、2030年までに世界の再エネ設備容量を3倍にし、エネルギー効率改善率を2倍にすることが約束されています。日本においてもこの目標と整合するよう、野心的な目標設定を明らかにする必要があります。


2.蓄電池・送電線の増強を早急に

 日本の2050年脱炭素の鍵となる北海道の再エネポテンシャルを活かすため、再エネ電力を大量に供給できる環境を早急に整備する事が必要です。需要側及び系統側での蓄電池の大量導入により太陽光発電・風力発電の余剰電力の有効活用が促進されるとともに、系統安定化に寄与する調整力としての対応が期待される事から、国による更なる支援が必要です。さらに、再エネの地産地消ができるような地域内送電線の整備や、豊富な北海道の再エネ電力を本州へ送電して広域運用する為の地域間連系線を迅速に増強する必要があります。


3.再エネ事業による地域の受益者の増加を

 地域との共生のためには事業規律強化が必要とありますが、再エネ事業による利益が地域の人々にもたらされる事によって、地域理解や共生を促進することも大変重要です。

 再エネ設備の導入に際して市民出資の活用など近隣住民等を対象とした有利となる投資システムを創出することで、経済的な恩恵がもたらされるとともに、地域と連携した再エネ設備の構築を推進することができます。地方公共団体では再エネ事業が地域に裨益するものとなるようなガイドラインや条例をつくることにより、建設業務等への地域事業者の参入や従業員の雇用、売電収入からの寄付金の拠出、地域からの出資の受け入れを求めることができ、地域と協調した再エネ設備の導入を進めることができます。生産コスト高騰により戸数が減少している酪農・畜産業では、家畜ふん尿を活用したバイオガス発電が進む事で経営コスト削減の他、臭気低減や自然環境保全にも寄与する事ができます。再エネの地域理解・共生を進める為には、こうした再エネによる受益者を抜本的に増やす仕組みづくりが重要です。

 また、再エネ電力の地産地消を進める事で地域外へのエネルギー支出が抑えられ、地域内でお金が循環することにより地域活性化につながります。このようなエネルギーと経済の地域循環の仕組みづくりに対する積極的な支援が必要です。


4.地域の声を政策策定の議論の場に

 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会において地方公共団体からの委員は福井県知事1名のみです。ヒアリングにより需要家や若者団体の声を取り上げておりますが、地域の脱炭素化を進める地方公共団体や地域に根差した発電・小売事業者や団体等、分散型電源である再エネを地域活性化につなげるよう取り組んでいる当事者の声についても議論の場で取り上げる事が重要です。


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一般社団法人北海道再生可能エネルギー振興機構

201212月、「北海道において再生可能エネルギーの導入を拡大し、地球環境の保全とエネルギー自給率の向上、そして地域経済社会の発展に寄与する」ことを目的として設立。道内59市町村と、企業・個人合わせて28の会員からなる。地域主導による北海道の再生可能エネルギーを普及拡大する為の情報提供やイベントの開催、意見の発信を行っている。

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