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設立記念フォーラム



北海道再生可能エネルギー振興機構設立記念フォーラム「北海道の再生可能エネルギーの可能性と、今後への期待」
日時 平成24年12月3日(月)14時30分〜16時00分 場所 北海道大学学術交流会館 講堂



パネリスト 吉田 文和 さん (北海道大学大学院教授)
      多田 好克 さん (北海道経済産業局エネルギー対策課長)
      森  利男 さん (苫前町長)
      秋山 信介 さん (北海道エコエネルギー技術協会副理事長)
コーディネーター 鈴木 亨 さん (北海道再生可能エネルギー振興機構理事長)

【鈴木】
本日のフォーラムは「北海道再生可能エネルギーの可能性と今後への期待」というテーマです。幅広い内容でざっくばらんに話をしていきたいと思います。最初に吉田先生に口火を切っていただきます。北海道の再生可能エネルギーの状況について、海外の事例を含めてお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【吉田】
私は、北海道で出来なければ、日本での再生可能エネルギー普及はできないと考えています。これまで北海道の事例とドイツやデンマークなど海外の事例を調査し、朝日新聞へ掲載したものを本日の資料として配布させていただきました。 (資料:本ページ下部に添付)
再生可能エネルギーの導入は「地域の産業活性化と雇用」という視点が非常に大切だと考えています。地域での再生可能エネルギー事業は、農林畜産漁業に携わる方々が自分たちの副業として取り組むというケースが考えられます。この場合、農地や港湾利用との調整が必要です。日本の場合は行政機関や関係者の協議に時間が必要ですが、デンマークなどではかなり進んでいます。
地域外から大規模な企業が参入するという点については、北海道でもご存知のとおりユーラスエナジーやJパワーなどが事業を行なっています。こうした事業でのポイントとして、立地計画の段階から地域が関与できるようにすること、株式の保有を義務付けることなどが考えられます。また、雇用などにより地元に収益を還元することが大切です。また、北海道グリーンファンドの市民風車ように、市民参加型で都市の人も出資者として参加する形も考えられます。地域分散型の事例として、ドイツでは事業主体としてのエネルギー協同組合が600近くできているなどの事例があります。
ここで、北海道での再生可能エネルギーモデルについて考えてみます。北海道では、電力だけではなく熱供給も大切です。
陸上風力であれば農業、洋上風力であれば漁業関係、そして地域外の事業者や都市の出資者と関係が出てきます。
太陽光発電の良い部分は、消費者が生産者になれることです。メガソーラーという形もありますが、個々の家につけていく意味が非常に大きく、これは同時に節電も進むというメリットもあります。浜中農協では太陽光発電を設置し、発電するだけでなく15%の節電も同時に実現しています。バイオマスは、林業の廃材を使って発電するという可能性があります。小水力は、北海道には既に10万キロワットの容量があります。地熱発電は観光業との調整が必要ですが、実際に湯を消費しなくてもアンモニアを媒体として発電し地域供給しているという事例もあります。バイオガスについては、家畜ふん尿からの有機系廃棄物を発酵させてガスにしたものを使って発電し、かつ熱として利用することができます。
これら全てのパターンが北海道の事例としてありますし、今後に期待もできます。
鹿追町のバイオマスプラントでは、十数戸の農家から集めてきたふん尿を発酵させ発電し熱供給もしています。生成される液肥も評判がよいとのことです。このようにふん尿を利用することで悪臭対策にもなります。
津別町では、町内の合板工場で合板を作る際に出る廃材をボイラーで燃やし発電し熱利用もしています。工場で使うだけではなく町にも供給しています。この合板工場で300人の雇用も生み出しています。同様の事例がオーストリアのギュッシングなど、多く出てきています。
稚内には大規模なウィンドファームがあり、稚内市で消費される全電力の7〜8割の電力量を発電することができます。
浜頓別にある市民風車は、市民の出資によって作られたもので、風車には出資者の名前が記載されています。将来、送電網が整備されることによって、このような風車をもっとたくさん作ることができるようになります。
このように様々な事例がありますが、課題もあります。
市民参加型の課題としては、買い取り枠と送電線の不足があげられます。系統への優先接続や買取義務の完全実施などが求められます。
地域外事業者が行う大規模事業の場合は、立地計画段階からの地域の関与や、地域への利益還元が求められます。デンマークなどで行われている株保有の義務付けなどを参考にすべきだろうと考えます。
個々の事業では北海道でも良い事例が出てきていますので、こういった良い事例を調べて普及していくことが大切だと考えています。
また、人材育成もまだまだ不十分です。北海道の場合は、地域の産業といかに連携していくかということが大切です。
内村鑑三の「デンマーク国の話」にあるように、デンマークは人の教育と国土の再開発で危機を乗り越えてきました。このように北海道も危機をきっかけとして地域の再生を目指すことが大切だと思います。

【鈴木】
デンマークのお話がありましたが、北海道の人口550万人に対してデンマークは540万人とほぼ同じサイズとして比較することができます。一方、北海道の風力発電が30万キロワットであるのに対して、デンマークは340万キロワットというように10倍の違いがあります。これを今後、どう考えていくか、というところが大切だと思います。
続きまして、これまで先進的に自治体として取り組まれてきた苫前町の森町長にお話をいただきたいと思います。

【森】
苫前町は日本海に面した町です。私は、風力発電推進市町村全国協議会という組織の会長も仰せつかっております。固定価格買取制度の単価設定などについて陳情要望なども行ってきました。この全国協議会には54市町村が加入しており、非常に積極的に活動しています。要望活動については、民間事業者の団体である日本風力発電協会とも連携して行っています。
この成果もあり、固定価格買取制度の買取単価については、非常によい状況になっていると考えています。
ただし、この価格がずっと続くわけではないので、このスタートが大切だと考えています。既設風車についても対象となったので、これまで取り組んできたところも、次のステップに進めるだろうと期待しています。
特に北海道はポテンシャルに恵まれています。そして、吉田先生のお話にもありましたとおり、いかにして産業との連携を図るかというところが、我々市町村にとって最大のポイントだと思っています。
これまでは、電気事業法の制約などもあり、発電した全量を売電する形が中心でしたが、これからは発電した電力を自分たちで消費し、余剰分を売電するというケースも出てくるのではないかと考えています。
苫前町には全部で52800キロワットの風力発電があります。そのうち、町が所有する風力発電は2200キロワットであり、年間5000万円くらいの収入があります。赤字になっていませんが、なるべく採算を合わせられるようにメンテナンスをしながら12年間運転してきたところです。
自治体として大型風車を建てたのは、苫前町が全国で一番最初であり、全国協議会の事務局も担っていることから、こうしたノウハウを蓄積して全国へ発信してきております。

【鈴木】
ありがとうございました。
固定価格買取制度、「FIT」と呼ばせていただきますが、これは風力、太陽光、小水力、地熱、バイオマスの5つが対象となっております。新聞を開けば毎日のように「メガソーラー」という言葉が見られるように、これらの中でも特に太陽光発電が話題になっています。
北海道でもいろいろなメガソーラーの計画が出てきていると聞いています。その辺も含めて、北海道経産局の多田課長からお話をいただければと思います。

【多田】
私は北海道経済産業局で、FITの設備認定と賦課金の減免認定に関する手続きを担当しております。これまでの設備認定状況についてご紹介させていただきたいと思います。 10月末時点で認定しているのは、太陽光と風力のみで、そのほとんどが太陽光の発電設備です。11月に入ってバイオマス設備も数件認定しています。太陽光発電設備の認定件数では北海道のシェアは1.7%ですが、出力ベースでは18%になります。特に1000kW以上のメガソーラーの出力合計について見ると、北海道が全国の34%を占めています。その内1万kW以上が6割強を占めていますが、1万kW以上の発電事業者9件の内、7件が道外事業者です。
1000kW以上で見ても、道外企業が約7割を占めており、発注予定の施工業者(一次受け)も約7割が道外事業者となっています。 このように、北海道では、道外事業者が大規模なメガソーラーを計画して、実際の施工も道外企業に任せるという形になっていますが、本当にこのままでよいのか、もっと地域の関係者が積極的に関与して再エネの価値を地域に還元していくことが必要なのではないかといった問題意識を当局としても持っているところです。

【鈴木】
ありがとうございます。7割以上が道外企業というところが課題ですね。
それでは、エコエネルギー技術協会の秋山さんに自己紹介も含め、今のお話を踏まえて、問題などについてお願いしたいと思います。

【秋山】
私達「エコエネルギー技術協会」は5年前に開かれたPVジャパンという展示会をきっかけに、問題意識を持った道内の建築事業者などが集まりました。北海道の住宅屋根に太陽光パネルを設置する際の問題は、無落雪屋根への設置です。無落雪の鉄板の屋根にそのまま太陽光パネルを設置すると雨漏りしてしまうという問題がありました。この課題を解決するために、3年前、北海道太陽光発電システム技術協会という組織を立ち上げ、一昨年、法人化したものが、北海道エコエネルギー技術協会です。現在、150社近くの会員がおり、建築事業者の他、太陽光パネルメーカーも加入しています。それだけ、北海道における太陽光パネルの設置技術は難しいということを示しているものと思っています。
メガソーラーが道東方面に多く、札幌圏には少ないというのは、雪の問題と基礎建築の問題によるところだと思います。
現状では、私達道内企業はメガソーラーを建設するには、ノウハウが少なく一次請けで受注できる体制になっていません。
私達が目指しているのは、住宅への設置によって積雪寒冷地における工法を技術開発し確立していくことです。太陽光パネルの基礎については、20年間それが問題なく使えるのかということについて、まだ実績がない状況です。
私達はメーカーとも協力して、この状況を少しでも解決したいと考えているところです。

【鈴木】
ありがとうございます。
吉田先生、風力や太陽光だけなく、バイオマスなども含めて課題についてどうお考えでしょうか。

【吉田】 
今年、道内の風力とバイオガスを中心に事例を見てきました。
メガソーラーは風力と比較すると利用率や設備容量の点から効率が良くないという課題があります。太陽光は、個人の家で設置することで、省エネ効果も期待できるという意味があると思います。ドイツでもメガソーラーの買取単価を急速に下げるなどの動きもあります。
風力については故障が多く、北海道の過酷な気象条件の中で、継続して動かすためには皆さんが苦労されているという状況だと思います。また、もっとたくさん作れるはずなのですが、送電線が足りないために建設できないというのも大きな課題です。
風力発電は、まとめて建てればメンテナンスなども有利になるのですが、立地の問題が最大の課題となっています。既存の農地などに建てられないことから、断崖の上に建設してバードストライクが起きてしまうなどの問題が発生しています。
デンマークでは、立地できる場所を行政が指定し、そこに事業者と住民が話し合いをして立地していくような形をとっています。
現状の日本のアセスの方法は、問題があり、事業者が全てのコストを負担するため、これが大きな負担となっています。ヨーロッパでは行政が先に調査を行い、立地可能地点を指定するようにしています。
また、現状の日本の規制では、少しでも補助金の入っている農地には絶対に建てられないという状況です。そうではなく、行政がそういった規制についても予め調整して、立地可能にしていくことが大切です。
デンマークではそういうことができているし、ドイツでもそれに近い状況になっています。
バイオガスについては、これまで50基ほど作られたのですが、今でも動いているものは少ない状況です。メンテナンスができないというのが大きな要因です。
これからは、寒冷な北海道の気象条件も考慮して、また参加者の意向もしっかりと踏まえて事業を考えていくことが必要です。バイオガスは、ふん尿処理による環境保全と、畜産業の継続という視点を含めて事業計画を作っていくことが大切です。
このように、これまでやってきたことの課題と成果を明らかにして、振興機構では、行政に対する改善要望や提案を行なっていくことを期待しています。

【鈴木】
ありがとうございます。
会場にバイオマスに取り組んでいる自治体の方はいらっしゃいますか。

【会場から鹿追町の吉田町長】
家畜ふん尿による環境汚染を防ぐために、バイオガスプラントを作って平成19年から稼働しています。発電規模は300キロワットで運転しており、順調に動いています。吉田先生のおっしゃったとおり、メンテナンスが問題となっています。
北海道に960万トン相当の家畜ふん尿があることを考えると、バイオガスプラントは今の北海道農業が抱えている問題に対する大きな解決策になるのではないかと思います。
全道に動いていないプラントが相当数あるというのは、北海道の気象条件などを考慮しないで作ってしまったことが、問題であったと思います。私達のプラントでは妥協せずに設計段階からしっかり考慮して作ってきたので、問題なく動いているのだと思います。
発酵後に出る液肥も有効に使えますし、また、発電についても90%の設備利用率があり、非常に安定した電力を供給しています。
今後、FIT制度ついては、発酵槽は発電所設備ではなく環境保全のための農業施設であるという前提で、しっかりと支援していただきたいと考えています。

【鈴木】
ありがとうございます。
現状960万トンもの家畜ふん尿が資源として存在しています。鹿追町は設備利用率が90%ということでうまくいっているのですが、北海道全体ではメンテナンスなどで苦労されているところが多い状況ということです。
ここでまた、風力の話に戻させていただきます。
私も風力発電をやっているのでよくわかるのですが、風車はメンテナンスが必要で、風だけではく人が回すという性格が非常に強いものです。自治体も事業者もこれまで、学習しながらメンテナンスを行って来ました。また、北海道には風力の大きなポテンシャルがありますが、それを活かすには送電線のインフラが必要です。
そのあたりを踏まえて、森町長にお願いしたいと思います。

【森】
再生可能エネルギーの拡大は全国民が望んでいることだと思います。風力発電は発電量も大きく、また、鈴木さんがおっしゃったように北海道は風のよいところが多いのですが、全国で見ると適地が非常に限られていると思います。北海道の場合は日本海などの沿岸部が風力発電の最適地だと思います。
現在、苫前町の風車は牧場に建っており、風車の周りを農地転用して使用していますが、最近では農地転用が難しくなってきている状況です。
こうした規制については、風力の適地であることなども考慮していただきたいと思います。
また、現在ではヨーロッパ製の風車が非常に多い状況です。そのため、部品を海外から取り寄せなければならない状況です。修理などに高いコストがかかりますが、これまで保険を適用しながら、なんとかやってきました。代理店の対応なども変わり、10年前よりはだいぶよい状況になってきました。他の自治体などと部品の融通などもしながら、できるだけ高い稼働率で風車を運転できるように努力しています。
固定価格買取制度もできましたので、これからは採算をとりながら、たくさん風力発電をやっていくべきだと思います。
先ほども言いましたように日本海側は風力発電に適した土地ですので、大型風車をたくさん建てるべきだと思っています。また、北海道内で大量の風力発電を行うためには、北本連系線を増強して、東北電力、東京電力とも連携しながら本州に電力を送ることが大切だと考えています。
大きな課題としては、北海道の北部は送電線が非常に細いことです。これを増強することが非常に大切ですので、是非とも国策として行なってほしいと思っております。そして現在、送電線の整備については、国と電力会社と風力発電事業者などの負担で実施していくという方向で議論している最中です。
再生可能エネルギー振興機構も、送電網の増強については、是非、積極的に取り組んでほしいと願っています。

【鈴木】
ありがとうございます。
経済産業省の試算によると、いくつかのオプションを組み合わせることで、旭川以北についてもあと380万キロワットくらいを追加できるだろうという話を聞いています。そう考えるとデンマークのような規模も遠い話ではないと考えています。もちろんインフラコストもかかりますが、国民合意に基いて進めていくことで、決して夢物語ではないと考えています。
今日せっかく、再生可能エネルギー振興機構が発足しましたので、みなさんで勉強し、声を上げて、実現に向けて動いていきたいと考えています。
それでは秋山さん、太陽光発電に関する系統連系の課題などがありましたらお話いただけますでしょうか。

【秋山】
太陽光発電では50キロワットで低圧連系と高圧連系に分かれます。10〜50キロワットの低圧連系の場合でも、トランスの容量が少ないため早い者勝ちで連系できないことがあったり、また、トランスがない場合は電力会社に設置を依頼する必要があるために、大きなコスト負担となってしまうというケースがあります。
10キロワットの太陽光発電も100個作ればメガソーラーになります。70坪の広さがあれば十分に10キロワットを設置することができますので、これをたくさん作れるような仕掛けを再生可能エネルギー振興機構で作っていければと考えています。
このような小規模のものであれば、地元の中小企業でも作ることができますので、建築やメンテナンスで雇用も生まれてくると思います。
そのためには、トランスの問題を解決することが大きな課題となっています。これを解決するために、国の施策として、あるいは市町村の施策としてトランスを整備するということをできないかと思います。太陽光パネルに直接支援するよりも、こうした施策のほうが実際には求められています。
太陽光は、風力やバイオマスと比較するととても簡単に設置できるというメリットがありますが、低圧連系の場合でも課題は同様の部分にあると言えます。
また、高圧連系については北海道内で扱える電気工事会社が2社しかないため、なかなかたくさんの設置を行うことができない状況です。それを考えると低圧連系のものをたくさん作るということが、非常に重要であると思います。

【多田】
森町長から風力発電の送電網整備に関して、国の取り組みについてお話がありましたが、日本での風力発電適地というのは北海道北部と東北地域の一部ということが明らかになっています。このため、こうした適地については、風力発電の重点整備地区として、国もインフラ整備にお金を出して送電網強化を進めようということで、25年度概算要求で250億円の新規要求をしているところです。 一方、太陽光発電については、北海道内では道東など日射量の多く確保できる地域に開発計画が集中している状況ですが、こうした地域の高圧連系の容量を考えると、メガソーラーの連系接続についてもだんだんと厳しくなるのではないかと心配しているところです。また、50kW未満についても、人口密集地から遠いところに行くと配電線の容量が小さいということがあり、連系接続にあたって高いコストが必要になるなどの課題がでてきているようです。 秋山さんからお話があったトランスの整備など小規模な課題は自治体での支援などを検討していただき、国はもっと大規模のインフラ整備に支援をしていく方向かと思います。
また、再エネ導入拡大に伴う周波数変動の対策として、送電網整備だけではなく大型蓄電池を使った実証事業についても、経済危機対応・地域活性化予備費を活用して実施することが11月30日に閣議決定をしているところです。 規制緩和についても、時間はかかっていますが、再生可能エネルギーの導入を拡大するために関係省庁が検討を進めています。

【鈴木】
ありがとうございます。
メガソーラーなど計画はたくさんあるのですが、土地利用規制と系統連系の問題にぶつかって断念するものもたくさんあると聞いています。
そういったところをみんなで考えていかなければいけないかなと思います。

【吉田】
FITというのは、価格によるインセンティブであり、これは非常に重要なことです。そして、もう一つの大切な視点が公共政策です。
インフラ整備や立地をどうするかということについては、買取単価だけを決めても進みません。これらをどうするかという公共政策について、ドイツやEUではしっかりと投資をして取り組んでいます。時間はかかりますが、これに取り組むように働きかけることが大切です。

【森】
送電網強化については、北海道全体で進めるのは、非常に難しいと思います。どこか一箇所をモデル的に整備し、そこから全体に波及させていく形がよいだろうと思います。送電網がなければ何もできませんので、振興機構としても送電網の整備に対して積極的に取り組んでいただきたいと思います。

【鈴木】
そうですね。まず、道がなければ電気は運べないということで、とても大切なことだと思います。
では、ここで、会場から質問を受けたいと思います。

【会場1】
最終的に日本は再生可能エネルギーの比率を何パーセントにしたらよいのか、目標について、みなさんのお考えをお聞かせください。

【会場2】
現状、横のつながりが希薄であるということを感じています。地域が地域で作ったエネルギーを使うこと、その産業を起こすことを考える必要があると思います。総合的に雇用を生み出すような体制を考えていくことが必要だと思います。ドイツなどでは、エネルギーをどうやって地域で使うかということについて考える住宅政策なども進んでいます。
北海道が持っている資源を活かす、観光と農業、医療なども含め、地域の活性化につながることを考えて行かなければならないと思います。総合的に横の連携をして次の世代にも残していけるような産業を作っていくことが大切だと思います。
こうした視点からの討論も、是非お願いしたいと思います。

【森】
苫前町でも電気を地域で使うということを考えていましたが、電気事業法や風力発電の性質の関係で、作った電気を自分たちの施設で使うということが難しい状況です。私達も作った電気を地域の産業と結びつけるにはどうしたらよいかということをずっと考えているのですが、なかなか難しいというのが現状です。
私も考えていますので、是非、よいアイデアなどご意見をいただければと思います。

【鈴木】
横の連携ということについて、例えば、風車であれば1万点以上の部品があります。こうしたことを考えると、風力発電関連産業が広がる可能性が考えられると思います。これまでは北海道全体でもあまり多くない状況でしたが、これから送電網が増強されて風力発電の数も増えてくることで、そうしたマーケットも生まれてくると考えられます。
規模の経済とそれを担保する送電網というのが、ポイントだと感じます。

【会場2】
バイオガスについてですが、熱効率を考えると、発電よりもそのまま燃料として使用するのがよいだろうと思います。それを利用する産業があれば雇用が生まれると思っています。例えばソーラーであれば、設置後の雇用が生まれず、その上、事業者がほとんどが本州企業であるということでした。北海道の地域経済のためには、地場の企業が参加できるバイオガスプラントと関連する産業の育成が重要だと思います。
再生可能エネルギーは、地域の産業に活力を与えるものとして、振興機構が取り組んでいただくことを切に願っています。

【森】
風力発電の電力により水素ガスを作り、温泉施設の燃料を作ることなども考えています。このような研究も含め、みなさんの意見を参考に進めていきたいと思っています。
再生可能エネルギーの比率目標について、国民の負担なども考えると、私は20%くらいだと思っています。

【多田】
再生可能エネルギーの活用による地域の活性化はとても大切な視点だと思います。そのためには、地域のみなさんが積極的に開発計画に関与して地域への還元について声を出していくことが重要だと思います。 再生可能エネルギーには「熱」もありますので、発電による売電事業だけでなく熱の利用についても今後は考えていく必要があると思います。 また、売電事業による利益還元についても、地域のみなさんが良い仕組みを考えながら進めていくことが重要だと思います。その中心になるのが、振興機構の役割なのではないかと思います。
再生可能エネルギー導入割合についての国の目標については、「革新的エネルギー・環境戦略」において、2030年までに水力も含めて2010年比3倍以上の開発を実現するとしています。水力を除いた場合は8倍以上の開発実現が目標です。 固定価格買取制度を支えているのは、電力を使っているみなさんです。再生可能エネルギーが増えることで、利用者の負担も増えるということもご理解いただきながら進めていくことが必要だと考えています。

【秋山】
太陽光について、道東地域の場合は本州などと同じく設置するだけのものになってしまいます。しかし、多雪地域ではいろいろな問題があります。私達の協会では多雪地域での設置についての講習会を行って、新しい職人の育成を行なっています。太陽光発電は設置からその後のメンテナンスも含めて新しい職種であると考えています。住宅や施設にたくさん設置されるようになると、地域での新しい仕事が生まれてくると思っています。
私達の協会では、メーカーと協力して実験を行なっており、しっかりと保険のついた状態で住宅を売れるようになってきています。これから地元の小さい電気屋さんが仕事をできる仕組みを作っていきたいと思います。

【吉田】
再生可能エネルギーと省エネの2つの柱が必要です。合わせて火力発電の効率を高めて利用することも重要です。
北海道の場合、熱利用が重要ですので、これまでの化石燃料に依存する形ではなく、バイオガスでその熱を作ることや、風の強いときには風力発電の電力で熱を作るなどの方法も考えられます。
北海道のベストプラクティスや、海外の事例をしっかりとまとめること、行政への要望などもしっかりと出していくこと、そして送電網の強化とともに地域のエネルギー資源を使って活性化につなげていくということに同時に取り組んでいくことが大切だと思います。

【鈴木】
吉田先生、まとめていただきまして、ありがとうございます。
皆さんのお話の中から、北海道再生可能エネルギー振興機構に期待されることが見えてきたのではないかと思います。
これから、産業の連携や地域の活性化も含めて、みなさんで連携して知恵やお金を出しあいながら進めていければと思います。
また、今日は話題に上りませんでしたが、私はファイナンスが非常に重要だと思っています。インフラビジネスの場合はどうしても設備投資額が大きくなります。何億円もの資金調達をすることは簡単ではないため、今後は地域でお金を動かす仕組みが必要になるだろうと思います。全国でも参考になる事例が少しずつ出てきていますので、金融についても勉強しながら形にしていきたいと思っています。
それでは、これで時間となりましたので、本日のフォーラムは閉会したいと思います。
もう一度パネリストのみなさんに拍手をお願いします。ありがとうございました。


Ċ
竹内聖,
2013/01/10 22:32
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